盲点をつく 2011/10/23 現場日記 待ちに待った〝軒巴瓦〟が焼きあがってきました。 【左三つ巴紋】 通称:オタマジャクシと呼んでおりますが左渦に対し右渦の【右三つ巴】も存在します。☆☆☆ 現場で欠かさず行うのが瓦の選別。 長さは大体揃っておりますが。。。 巴の背に対し鏡(正面の紋が入った部分)がどの角度で成形されているのかを確認するのは本葺き施工では常識。もし闇雲にどんどん取り付けしている業者が居たらよっぽど自信があるのか無知でやってる怖いもの知らずかのどちらかです。 予算がないからー!と言い訳するのは論外でありそういう人に社寺施工を依頼する方にも問題があります。 全枚数の包装を解き破損がないかもこの時に確認。 5厘(約1,5㎜)刻みで細かく仕分けすることにより仕上がりが大きく変わってきます。この現場に搬入されたされた軒巴では最大8という単位で選別結果がでました。角度が一番違う軒巴同士で8×5厘=4分の誤差があるということです。 この2枚が隣り合わせになった場合・・・通りに4分の狂いが生じるということ。ガタガタになるということです。 この差を逆に利用するのが先人より受け継がれている職人技なのです。 人の目には錯覚というものがありますのでその盲点をついていきます。 角度のキツイ瓦を外側に配置し中心にしたがって徐々に緩い瓦を配置。真ん中で絞ることに依り自然とシャープな線が生まれます。 選別と配置・・・ 必要不可欠なテクニックの一つです。 足袋人が下積み時代・・・ この作業をこれでもかー!いうほど親方からやらされていました。現場の進行をしながら合間に選別。それをノートに書き写してから宿舎に帰り夜中に使う順番を考え次の日にはその通りに自分で配置。何も言われないまま配置した通りに親方が葺いてくれるとそれはそれは嬉しいものでした。今に生きてます☆ 今回の物件は小さめで隅棟もないので使い分けが出来栄えに直結してしまいます。枚数が少ないので下端のネジレもチェックしてみました♪ こちらは 軒唐草施工中。 軒裏は漆喰仕上げです。養生テープを張って一枚一枚塗りながら取り付けしています。