先月から着工している神社の拝殿工事も いよいよ大詰めを迎えています
他現場との兼ね合いもあり 元請け様には細かな工程調整でお手数をおかけいたしましたが そこはプロの段取り
工期遵守はもちろんのこと 細部まで一切の妥協なく仕上げております
(素屋根付きの現場)
現場には素屋根(仮設の屋根)が架かっているため 直射日光こそ避けられるものの 内部は文字通りのサウナ状態
「サウナの中で仕事をしているようだ」と漏らす職人もいますが 熱中症対策を万全に整え 職人一同 集中力を研ぎ澄ませて瓦に向き合っています
(現場看板より)
現場看板の写真:資格の重要性を改めて実感しますね
民間の仕事(日常の常の現場)ではあまり資格を問われることはありませんが一級技能士が物いうところもあり保有していて当たり前だと思っています
古瓦の「再焼成」と、地上での徹底した事前準備
今回の屋根工事における大きな見どころの一つが 既存の「鬼瓦」と「水板(みずいた)」の再焼成(焼き直し)による再利用です
(仮並べ)
こうした古瓦を扱う際 私たちは必ず屋根に上げる前に 地上で一度「仮並べ」を行います
面倒に見えるかもしれませんが 屋根の上でぶっつけ本番で調整するよりも 地上であらかじめ全長の確認や高さの不揃いを切って揃えておくほうが 結果として遥かに正確でスピーディーな施工が可能になります
(上手く納まった)
現場での「秒殺」とも言える流れるような作業は この地道な下準備があってこそです
50年100年先を見据えた「木枠なし」の雨仕舞い
そして 技術的に最もこだわったのが「甍(いらか)棟と水板」の内部構造です
一般的には 棟の内部に木枠(芯木)を組んで施工するケースも多く見られます
しかし私はあえて木枠を組まない工法をこの現場で採用しました
なぜなら 水板という構造の特性上 経年変化によるわずかな雨水の侵入を100%防ぎ続けることは非常に困難だからです
もし内部に木枠があると 入り込んだ水分が逃げ場を失って木を腐らせ 最終的には棟全体の崩壊(内部からの瓦の浮きや漆喰の剥がれ)を招くリスクが高まります
意匠(見た目)として「水板前面の美しい通り(直線)」を通すことは職人として大前提
その上で 目に見えない内部の雨対策として 木枠の代わりに撥水性と耐久性に優れた熨斗瓦(のしかわら)を緊密に積む独自の工法を選びました
「見えない部分だからこそ、建物の寿命を縮めるリスクは徹底的に排除する」
これが 私たちが貫いている施工思想です
「原寸図」がもたらすミリ単位の精密な納まり
今回は 限られた小ぶりの鬼瓦に対して甍棟を納めるという 非常にタイトな設計要求でもありました
一歩間違えれば 棟の高さが鬼瓦の天端(頭頂部)を追い越してしまうリスク(美観や雨仕舞いの悪化)があります
これを現場の「勘」や「出たとこ勝負」で進めるのはあまりに危険です
そのため 私たちは事前にダンボールで「原寸図(実物大の設計図)」を作成し 棟際に吊るして常に勾配と高さをミリ単位で確認しながら積んでいきました
(予定通りの納まり)
結果、鬼瓦の天端ギリギリで見事に 美しく納めることができました
事前の徹底したシミュレーション(原寸図)があったからこそ 美しいプロポーションと確実な雨仕舞いが両立できたと考えます
(見えにくいですが…)
伝統工法をただ踏襲するだけでなく 現場の状況に合わせて建物のために最適な最適解を導き出すこと
それこそが私たち甍屋(いらかや)の職人としての誇りです
私たちはこれからも何十年先も誇れる屋根を造り続けます
まだ続編は先に『足袋人レター』にて
ではでは。。。
(2026年追記)あれから18年が経過して
この記事を執筆した2008年から18年という歳月が流れました
その間 日本列島をいくつもの巨大台風や記録的な集中豪雨が襲いましたが この拝殿の棟は今なお微動だにせず 雨漏りも一切ありません
内部に木枠を入れず 瓦の特性と水はけを活かして積んだあの時の現場判断が正しかったことが歳月によって完全に証明されています
三豊市・仲多度郡・善通寺市・丸亀市・観音寺市周辺で「他社で直らなかった雨漏り」や「屋根の本格的な修理」にお悩みの方はぜひ瓦葺き一級技能士の店・(株)甍屋(いらかや)へお気軽にご相談ください!
お電話でのご相談はこちら : 0875-56-2166
メールでのご相談は [こちら] :(※24時間受付中 )
コメント
再焼成の水板って・・・こんなにもピッタリと合わせれるものなんですね。
さっすが!!感動しました(小泉風)
水板の中ののし積みって、やっぱチリをつけずツラを合わせてるんですか?
見えなくてもったいなくても、まさしく建物のためですね♪
瓦人さん。
ピッタリというところまでは^^;
なかなか合いません、正直。
水板の裏はキズモノののし瓦を使用しています。
実は先に水板を取り付けてから中の棟を積んでます。
わかるかな???